GUINIER PEAK ANALYSIS

前に示したギニエ解析は、 \(q \times Rg <1.3\) であるという簡単なルールを使って線形領域を近似している。これは安全なルールではあるが、試料を理解するためには最良な方法ではない。

ギニエ領域は、 SAXS 測定に関与する粒子の球形性を利用している。球形度は、放射線損傷や粒子形状などの要因によって影響を受ける可能性がある。サンディエゴ大学のChris Putnamは、“Guinier Peak Analysis” ボタンを使って規格化し得られるギニエ解析を導き出した。ここでは、理想球状粒子は適切に規格化されたプロット(図1)で、 \((q \times Rg <1.3)^2\) が1.5以下にピークを持つべきであることを示している。したがって、問題のあるデータでは、残渣の偏りのない分布を持つ1.5近傍のピークを最適化するようギニエ領域を定義する q 範囲を調節することができる。

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良いふるまいを示す理想的な試料は、破線の赤い線に従う。理想的な線へのフィットの残渣は、下のパネルにある。この試料では、SECはBSAを精製したが、その試料は、1.3制限もしくは2.3以下の \((q \times Rg <1.3)^2\) をはるかに超えるギニエ領域を有する。

精製されていないBSAでは、基本的なギニエ解析は、残渣にわずかな曲率を持つ線形領域を示す(図2)。その偏りはわずかであり、 \(q \times Rg <1.3\) 範囲(正規化されたギニエプロットの精製された試料と精製されていない試料との間の上部の q 領域を比較する)によって制限されるはっきりとした直線領域で、試料が良いふるまいを示すことを容易に示唆することができる。

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規格化されたギニエプロットを調べると、上部の q 領域は点線の赤い線から大きく歪んでいるので、理想的ではないことを示す(図3)。

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ピーク位置を最適化しようとすると、 q の上限下限領域は理想的ではないことが分かる(図4)。この解析は、試料に問題があり、ギニエ領域を定義している状態は混合物が存在している可能性が高いことを明らかに示している。

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